どんぐり学舎

かてごりー:どんぐり問題

習ってない、って言わないどんぐりっこ

新しい子が教室に加わると、

少し前から通ってきている子も、ずいぶん長いこと通ってきている子も、

私が言わなくても自分たちで教室のルールだの、どんぐり問題のルールだの、

要所要所で伝えてくれます

そんな中、慣れてきた子がほとんど言わなくなるのが

「習ってない」

という言葉です

そういう言葉を誰かが言うと、

「習うもんじゃないもん」って誰かが言い返します

「自分で好きに考えればいいんだよ」と誰かが補足します

みんな、みーんな、どんぐり先生だね

 

IF法を知ってからは、漢字なんかむしろ、習ってない方が燃えるみたい

「よっし、形は覚えたぞ、そいで、これってなんて読むん?」みたいな…(笑)

分厚い漢和辞典をバッグに忍ばせてきてくれた子もいました

より複雑な漢字を探そう、ってね

お家で、お父さんと、三十画の漢字をIF法で覚えたよ、って報告してくれた子も

教室で覚えた「鬱」って字を、家の壁に貼ってるんです~ってママさん

うちは「薔薇」って書いてましたよ、という別のママさんの話を聞いて、

「鬱」より「薔薇」を貼ってほしい…と苦笑

 

みんな、みーんな、もう、どんぐり先生以上だね

 

さて、昨日は5年生が「分母の違う分数の計算」をやっていました

計算練習じゃありません

どんぐり問題です

5MX58 「ゆっくり正確に次の計算をしましょう」という、どんぐり問題です

5年生男児、迷わず絵を描いて解きました

分母の異なる分数の計算は5年生で習いますが、まだ1学期が終わったところ、

だから、「習っていない」のです

でも、言いませんよ、「習ってない」なんて

5MXに入っているなら、糸山先生は通分を習ったあとに解くべし、と

この問題を入れたのか、と思うかもしれませんが、

解いてみるとそうじゃないんだな、とわかります

どういう意味の絵図だろう…と黙って見つめていたら、自分から解説をしてくれたので、

私には、どうして答えが出たのかはわかりました

みなさんにはわかりますか?

同じ問題を、別の小5女児が解いたものがこちら

もちろん、この子も「通分」なんて知らないんですけれど、

1・1/3の絵と、5/6の絵を描いてみたら、

1・1/3は8/6だなあ、って気づいて、じゃ、8/6に変えちゃおうっと、

と思ったんですって

で、

3/6が残った

3/6を絵にしてみたら、あら、1/2じゃないの、ってことで、やっぱり1/2にした、

と言うのです

じゃあ、3/6と1/2は同じってことなんだね、と話していました

おんなじだよ、だってほら、と絵を指さして

この女児が、4年生の時に解いたのがこの分数計算

4MX00 基本計算

やっぱり絵で解いています

当然です

「通分も約分も習ってない」のですから

 

かつて、進学塾に勤務していた頃、

小学生の算数の難関は「通分」でした

分母が違う分数の足し算と引き算を、いかに定着させるか、

本部からは大量の計算練習をさせるカリキュラムが出されていました

当時から、算数のわからない子には絵に描いて説明をしていた私ですが、

初めから数量感覚のない子には、いくら絵で説明しても理解してもらえなくて、

結局は、反復練習でたたき込み、「覚える」方法しか「点数」を取らせる方法はなかったのです

その様子は、

とてもとても悲惨なものです

理解していないのに、大量に練習して、覚えるしかない、という状況

体で覚えるまでたたき込め、という方針のもと、

私は時々それでも、「わかっているのかな?」と確認もするのですが、

わかっていようが、いまいが、やるしかない、繰り返すしかないのだ、と子どもたちは必死でした

覚えないと、点数がとれないから

覚えないと、親に叱られるから

中学受験を目指す子など痛々しい程でした

普通の小学生と違って、入試を控えているのですから、

とにかくたくさんのことを「覚える」しかないのです

 

分数を絵で考えて計算までできるということは、

分数ってやつがいったいなにものなのか、分かっているということです

なんのために分数があって、どういう時に分数が役に立つのか、

そして、分数同士を足したりひいたりするってどういうことなのか

たくさん練習しなくても、

覚えようとしなくても、

彼らは自分で考えて、自分で理解しました

 

それでも学校で分数の通分の単元に入れば、

大量に練習をさせられ、宿題も出されることでしょう

そんな時、せっかくつかみとったこの感覚の芽は、摘み取られるでしょうか、それとも

しっかりと残るのでしょうか

 

この体験があっての教科書での「通分」と、

ない場合とでは、大きく違ってきます

なにも、どんぐり問題からだけではなく、日常生活は数量感覚であふれています

盛りつけたご飯の量、

コップに注いだ麦茶の量、

雨の日のあとの川の水量、

見上げれば雲量、

旅行のあとお母さんが嘆く洗濯物の量、

お兄ちゃんが合宿に行っている間はおかずがいつもの半分、

お父さんがダイエットのためにご飯を1/3に減らして、だってさ

…なーんて

ごろごろ転がっている、数感覚の準備学習

 

まずは大人がその感覚を呼び戻しましょう

いちいち「これは数量感覚によいかしら」などと考えなくても大丈夫

子どもと、同じものを見て、感じたことを言いましょう

あー、いつもより少ないね

あー、去年の2倍も渋滞してるね

夏休み、旅行に行くならできるだけカーステレオはオフにして、

車窓から見えるいろいろなことを一緒に味わいましょう

大人同士で、話すこともよく聞いています

ちょっと難しい話をしたって大丈夫

内容と言葉遣いには気をつけて(子どもの前だけではね)

 

分数を最初から絵にしてあるカードが流行しているようですが、

私は、やっぱり自分で描く工夫が必要だと思っています

知育にいかにもよさそうなものほど、

実は最も重要な部分を補いすぎていて、逆効果になっているものが多いです

親切なのも、作成者の知能が高く、素晴らしいのもわかるのですが

子どもはもっともっと原始的なものから学びとります

木の枝でいい、

砂の山でいい、

空の雲や、風でいいんです

 

 

 

ぷろふぃーる
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