どんぐり学舎

かてごりー:高校入試問題

入試問題 バディでGO!

D→K Room(どんぐり学舎卒業生専用中学部独学支援室 以下DK)では、

中学1年生から入試問題に向き合います

こういう問題に出会うと、

今、習っていることをどうとらえていったらいいのかが

具体的に、明確に、なるからです

これは、昨年度の「健大高崎 学業特待Ⅰ」の社会の第一問

中学1年生で習う「世界地理」の問題です

中間テストや期末テスト前に、「重要事項」を暗記する勉強法をすることが多いし、

学校の先生の出す課題も、教科書準拠のワークブックなどから問題を解くものがほとんどですが、

ただただ、教科書の重要事項を暗記しただけで得点できる入試問題は

実際には少なくて、

あらゆる知識を総動員してからめて考えることと、

資料やグラフを正確に迅速に読み取ることが必要な力となってきます

 

たとえば(1)の問題は、

カイロ、イルクーツク、シンガポール、ケープタウンの4都市の

「月平均気温の最大の月と最小の月の差」と

「月平均降水量の最大の月と最小の月の差」を表したグラフⅠを見て答えます

 

カイロやシンガポールは「習った」という意識があっても、イルクーツクってなんだ?という子が多いです

でも、上の地図上に示されているので、イルクーツクはロシア連邦内にある都市だとわかります

地図で見ると、東京よりずいぶん緯度が高い

北海道より高いようです

ケープタウンはアフリカ大陸だけど、シドニーと緯度は近そうです

なら、四季のある温帯でしょうか

シンガポールは赤道直下、カイロは乾燥

頭に詰まっている知識を総動員して、からめて考えていきます

 

DK中1クラスでは、この問題を、「バディでGO!」方式で解いてみました

バディでGO!とは、小学校の運動会でよくある競技の名前からとりました

2人組になって協力して解く、という意味です

バディをあみだで決めると、それぞれがどのように解いていくか話し合います

結局、だいたい1人で解いてみて、最後、わたしに提出する前に照らし合わせ、

一緒に考える、という方式をとっていました

手持ちの資料、教室内の資料も自由に使っていいことになっています

 

最初、このグラフを見て聞こえてきたのは、

「ここはこんなに暑くないよ」

「雨が少ないからここじゃない?」

 

…やっぱり、グラフの表していることを理解していません

たとえばグラフの①は、

横軸の月平均気温差がほとんどなく、

縦軸の降水量差が最も多い、ということを表していて、

③は

月平均気温差が15度くらい開いているけれど、

降水量差はほとんどない、ということを表しています

だから、これだけを見て、「暑いか寒いか」「湿潤か乾燥か」ということまでは

わからないはずです

徐々に、そのことに気づいてくる子が出てきます

絶対にこれ、という正解が当てはまると、他は消去法で当てていくのが無難です

ファイナルアンサーは3回勝負

わたしに挑戦できるのは3回までです

 

(2)はやはり他の4都市の、日の出と日の入りの時刻についてです

12月22日の記録ですから、

1月の現在、「東京」を当てるのは生活体験から可能ではないかな、と様子を見ていました

「え?何時ごろだっけ、日の出って…」

「昼間が長いのは…」

ああじゃない、こうじゃない、言いながら、ファイナルアンサーを整えていきます

そういえば、富士山の初日の出は6:40くらいだったよね~なんて助け船を出したりして

 

中2では日本地理の地形図の問題を解いてみました

「わたし、こっち調べるから○○ちゃんはそれを調べて」などと役割分担をして、

正解まで近づいていきました

ひとりが「こうじゃない?」と言っても、もうひとりが「いや、でもこうじゃない?」

わたしは聞いてないふりをして、聞いていました

参考書の使い方も、調べ方も、夢中になっているから、どんどん研ぎ澄まされていくように見えました

楽しそう…

 

と、同時に、実際にはこれを50分以内に一人で解くのだよ、と心の中でつぶやいたのです

バディでGO!なら楽しいし、心強いのにね…

 

これだけの問題を正確に時間内に解くために必要な力ってなんだろう、と考えました

ものすごく容量の大きな有能な脳みそだったら、

なんでもかんでも放り込んでおきさえすれば瞬時に正解が出てくるのでしょう

時々テレビである、最強頭脳決定戦、みたいなクイズ番組に出ている人たちみたいに

でも、そういう特殊な頭脳の少数の人たちに倣うことはできず、

私たち凡人は、どうやってこのような問題に立ち向かえばいいのでしょう

 

大人になった私が、入試問題の地理の問題を解いていて、自分の脳がどう動いているのか想像すると、

「行ったことがある」「聞いたことがある」など、経験からの知識が多いことに気づきます

中学生のとき、行ったことなかったよなあ…

車の運転もしないから、この距離感や方角のイメージは、なかったよなあ…

国語の論説文でも同じ事を思いますが、

大人なら容易に読み取れるようなものでも、中学生が読み取るのは不利だろうなあ…と

地理でもやはり

 

でも、

大人と勝負するわけではなく、中学生対象の問題なのです

教科書通り、整理された知識だけを暗記していっても、

ぐにゃぐにゃに応用された入試問題には太刀打ちできません

知識を暗記するのは大前提であり、

それをどう使いこなすのかが、本当の実力なのですから

 

入試問題を前に、DKの中学生達はわくわくしているように見えます

「もっとやりたい!」「来週もやりたい!」と口々に言ってきました

これは毎週やっていこう、と今週も資料を作成しています

 

DKは、独学支援ルームであり、わたしが全体に授業することはありません

でも、

中学校の課題だけで入試に立ち向かえると勘違いしている生徒さん達に、

自分の力をどのように強化していくか、ヒントを与える場ではあります

 

最近、中学校からの課題がかなり悪い状態になってきています

中学校は教科担任制なので、先生の個性と方針によりますが、

全体的な底上げが目的なのか何なのか、

生徒に自分で勉強の計画を立てさせる猶予を与えず、

ただひたすら課題でがんじがらめにしているような傾向が多くの中学校で見られます

考えさせる課題は少なく、

ただ書く、ただ解く、というものが多く、

生徒達もほぼ投げやりにただやっつけているように見えます

DKにいる子たちはどんぐり経験者ばかりなので、

課題を押しつけられ、やらされることを窮屈に思うタイプが多いです

それでも、どんぐり経験の長い子ほど、

なぜか同じ課題でも「そう多く感じない」と言うので不思議です

よーく観察していると、

時間の使い方がうまいのと、先を見越した準備をわりとしているな、という印象です

そして、

授業中に理解しきってしまうことが肝心なようです

わからないことはQノート(わからん帳)で聞けるのですから

 

入試問題に出会うことで、1年生も2年生も、

今、習っていることがのちのちどう変身して自分たちの前に立ちはだかるのか、

イメージできてくると思います

どんな方法であれ、出会わせておくことで、入試へのわくわく感も同時に育つのではないかな

と、

今朝の新聞の、センターの問題にため息をつきながら思ったのでした

 

中学の先生、生徒達はいずれ、あんな問題にひとりで立ち向かうのです

少なくとも、もちろん毎年全ての高校入試を、全国とまではいかなくても、

県内の入試問題は全てチェックしてご存じでしょうけれど、

いかに精神的にも学習面でも自立させるかが立ち向かえるかどうかの鍵ではないでしょうか

課題でがんじがらめにして、先生方の期待には応えることができても、

本当に実力がつき、自ら学びとる力はついているでしょうか

 

…ああ、そうですね

一般的な塾では、さらにそれを助長するようなカリキュラムを堂々と展開しているのでした

できるだけ塾に依存してくれるよう、

できるだけ塾にお金を使ってもらえるよう、

企業努力を弛まず続けているのでした

 

わたしみたいな方法では、ダメでしたね

依存もしなくて済みますし、いてもいなくてもいい存在です

依存されても一生それに応え続けることはできないし、

生徒達の将来を絶対的に保障してやれる力もありません

 

でも、

わたしは生徒達の一生を見据えています

彼らがどう生きるか

彼らが今の一瞬をどう生かすか

わたしが導くのでも抑えるのでもなく

自分の力で獲得する、という経験をいかにさせてやれるか

 

失敗しても

まだチャンスがあること

成功しても

傲らないこと

 

彼らの人生は、まだスタートライン上なのですから

 

彼らの周りの全ての大人の方に

わかってもらいたいな…

 

 

 

ぷろふぃーる
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