どんぐり学舎

かてごりー:小学校にはいる前のこと

クシュラの奇跡 絵本を通して愛を伝える


1971年にニュージーランドで

クシュラという女の子が先天性の重い障害を持って生まれました

あらゆる重病を抱え、視力も聴力もなかったようで

1歳まで生きられるかどうか、という状態だったそうです

それでも両親は悲しみを乗り越え、

眠っている時以外はクシュラを抱き、見えない景色を見せ、

聞こえない声をきかせ、

彼女を必死で育てました

生後4ヶ月のとき、顔の近くに絵本を持っていき、読み聞かせをしていたら

クシュラが反応

それをきっかけに、両親は「絵本の読み聞かせ」を毎日するようになりました

長い日で一日10時間、毎日、毎日、見えないはずのクシュラに

聞こえないはずのクシュラに

最終的には140冊の絵本をくり返し、くり返し、読んで聞かせました

その結果、クシュラは3歳で標準の知能を越え、奇跡的に数々の機能も回復を見せ

成長していきました

何度も繰り返し読み聞かせることで、

好きなフレーズを暗記したり

絵から想像したり

クシュラの様々な機能に働きかけ、回復につながったと言われています

でももちろん、医学的根拠は謎、だから「奇跡」なのです

 

「クシュラの奇跡」、と呼ばれているこの実話は、

絵本の読み聞かせの効果や意義が実感できるのと同時に、

それだけではない、親が子を必死に育てるということはどういうことかを

教えてくれます

医者も諦めている難病の我が子を、病院や施設に預けることなく

大変な苦労をして両親は自分たちの手でできる限りのことを続けました

クシュラを生んだ時両親は21歳と20歳、という若さだったそうです

いろいろな文献で調べましたが、クシュラのような障害を持って生まれた場合、

ほとんどの親御さんが泣く泣く施設に預け、クシュラと暮らしたこの両親のように

できないのが現実のようです

今は手厚い医療の設備も整っていますから、

希望すれば完全看護で預かってもらえるものなのでしょう

でも

クシュラがもし、ずっと入院して投薬や治療、看護だけを受けていたとしたら…

奇跡は起きたのでしょうか

クシュラの両親がしたことは、親にしかできない特別なケアです

クシュラを抱っこし、絵本を読み続ける

自分たちの愛情も体力も精神力も全てクシュラのために注ぎました

そして奇跡は起こったのです

 

※『ロレンツォのオイル』という好きな映画があります

  これも実話で、小学生まで健常児だった息子が突然難病にかかり

  医者も諦めた状態から両親の必死の努力で

  なんと特効薬を発見

  奇跡的に回復する、というやはり似たような話なのです

 

絵本を読み聞かせする時、子どもたちは絵本そのものを楽しんでいるのもありますが

思い起こすと、読むよ~と絵本を持つと、当たり前のようにわたしの脚の間にちょこんと座り、

わたしのお腹に小さなからだがすっぽり、まるで戻ってきたようにはまり、

わたし自身もこの上ない幸福感に満たされ、

子どもも絵本を楽しみながら時々見上げてはわたしの反応を見たり、

おきまりのページでおきまりの表情を見せたり…

子ども部屋に溢れるたくさんの絵本、一冊一冊にそれぞれ思い出があるほど

数え切れない親子体験をしました

わたしとしてはたくさんの絵本の世界を見せてあげたい、という気持ちもあり

絵本について勉強した経緯もあったので

周囲の経験豊富な絵本の有識者(?)のすすめや出会いから

とにかく色々な絵本を集めてきました

でも、子どもにとって一番よかったことは、わたしが絵本を持つと

その絵本とわたしの体との間の空間にすっぽりと入り込んで

絵本が読み終わるまでのしばらくの間は

ふたりだけの世界

(子どもがふたりになってからは3人の世界、またはじゅんばんこの世界)

あったかくて、安心できて、親が絵本を読むこと以外なにもしていない、

忙しそうにしていない、自分のためだけに絵本を読んでいる、という状態

その状態こそなによりの楽しみ、幸福だったのでは、と思うのです

 

幼少期にたくさん、たくさん、そういう経験を重ねておくと、

少しずつ親離れしたり、少しずつ難しい関係になったりしても、

なんというか、原点があるというか、そこに立ち戻れる自分たちがいるというか

これは理屈ではなく、まさに、奇跡のような…

クシュラの話を読むと、たまたま、健常に生まれ、健常な子を授かったわたしたちに

たまたま、重い障害を背負って生まれ、生きている人たちは

多くを教えるために存在するのだと痛感するのです

この瞬間と

この存在を

大切に、クシュラの両親のように必死で自分たちの手で育てなければ、と

 

わたしたちにはまだまだ、できることがあるのではないでしょうか

 

クシュラのお母さんは、クシュラが成人すると間もなく

40歳の若さでこの世を去りました

クシュラを、見事に育て上げて亡くなったのです

クシュラを生んで20年、娘のためだけに生き抜いた人でした

クシュラはわたしのひとつ年上で

現在も友達と3人での共同生活をして元気に暮らしているそうです

お母さんが自活を勧めたので家を出て、

お母さんが言い遺した「毎日勉強しなさい」という教えを守り、

毎日クロスワードパズルなどをして勉強をしているそうです

両親に完全なる愛情を注がれ、クシュラは自活できたのです

 

わたしの年齢までにクシュラを成人させて亡くなったクシュラのお母さん

そしてほぼ同い年のクシュラ

いつか彼女の話を直接聞いてみたいな

と思っています

 クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々
ドロシー・バトラー 百々佑利子 Dorothy Butler

by G-Tools

これはクシュラのおばあちゃんが書いた論文を書籍化したものです

 

クシュラの読んでもらった絵本の多くが我が家にもたまたまありました

子どもが大好きな絵本は世界共通なんだなあと感じます

子どもの目をひくキラキラした技巧的な絵本ばかりではなく、

素朴で、大人は一見「なんだこれ」って思うような絵本でも、

子どもは夢中になり、いつまでも忘れないものです

絵本選びに困ったら、「3世代読み継がれている」「世界中で愛されている」を基準にどうぞ

 

ぷろふぃーる
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