どんぐり学舎

かてごりー:日々思うこと

親の役割、わたしの役割

先日、福祉関連の仕事をしている人からこんな話を聞きました

福祉サービスを受けている方とその御家族からの細かい注文が多く、

本来、すべき仕事よりもそれらに気を遣って大変だ、と

たとえば、

「呼称」が決まっていて、間違えると苦情を言われ、厳しく注意されるとか、

「洗髪の仕方」「シーツの整え方」などがニーズに応じて異なっていて、

間違えたら大変な苦情を受け、やはり厳重に注意されるとか

訪問する福祉サービスでは、掃除の仕方にも細かな注文があり、

…それらの注文が、あまりにも現実離れした理不尽なものであるのですが…

その手順や仕上げを間違えるとまた、苦情を受け、注意されると…

それが、珍しいケースではなく、かなり多数のユーザーがそうらしいのです

 

介護や、看護の現場では、もちろん、利用者さんや患者さんの症状によって、

個別に気をつけるべきことがあり、必要以上のストレスをできるだけかけないように、

細やかな気遣いやスタッフ全員での情報共有のために明文化する部分はあることでしょう

 

それでも、

ちょっと待ってくださいよ

特に介護の現場では、

家庭で過ごせなくなったり、家庭生活に手伝いが必要だったり、その段階になって、

福祉サービスを利用することになったはずです

自分ではどうにもならなくなったり、家族ではケアしきれなくなったり、

特に高齢者の介護では、相談にのってくれ、介護を代行してくれる福祉サービスは

とても重要な役割を担っています

それでも、

まるで立場が逆転したかのような、現場の介護スタッフへの厳しい注文は、

いったい、どんなところからそうなってしまったのか…理解に苦しみます

お金を払っているんだから当然だ、とでも…?

どこかから聞こえてきそうな声です

そんなことでは、誰も介護の仕事をやりがたらなくなり、

誰もその人を心をこめてケアしよう、なんて思わなくなってしまいます

基本的には家族のことは家族でケアしよう、その段階で、必要なプロの手を借りよう、

そして、協力しながらやっていこう、

それが本来の福祉サービスのありかたではないでしょうか

 

「いくら大変だからって、年をとったからって、家族を、そして福祉の人を、

なんだと思ってるんだ!」と

話を聞きながら愚痴っていたら、

ふと、子どもの教育に関することも思い浮かんできました

 

いま、教育サービス業があまりにも多様化していて、

まるで「それらありき」のような、そんな世界になってきています

本来、

子どもの教育は家庭でするもので、学校にあがる前に基本的な習慣は身についていて、

それから学校に送り出し、

子どもを見守り、育てていく

その上で、子どもに関して困ったことがあれば先生と相談し、家族で工夫し、

その子がいちにんまえに成長するまで、自主的に生きていくまで、

そうなれるように逞しく育てる

それが本来のあり方だと思います

 

以前、子どもを出産したばかり、という方から相談のメールをいただいたことがあります

「子どもの教育に関して、不安で仕方がない」と

まだ言葉も発しない、おむつをしている乳児を抱えて、

「教育が心配」という若いお母さんの心中を思うと、

この世界の残酷さに嫌気がさします

 

いつから、子どもの教育は「外に出ていって」しまったのでしょう

そして、「家庭では抱えきれない」深刻なものに、なってしまったのでしょう

 

時代が違うのよ、って?

今は、教育サービスでしっかりと子どもを鍛えておかないと、生きていけないよ、って?

お金と時間をかけたもの勝ちだよ、って?

果たして、そうでしょうか

 

時代が変わっても、子どもは変わりません

親またはそれに準ずる存在が近くにいれば、

それらの人々の愛情を受けて、ひとりの人間として成長していくだけです

昔からそうだったように、

頭を使うのが得意な子もいれば、体を動かすのが得意な子もいます

手先が器用なのが自慢の子もいれば、

誰にもみつけられない珍しい生き物を見つけ出すのが得意な子もいます

写実的な絵を上手に描く子もいれば、

想像画をいつまでも描いていられる子もいます

数学なら任せてよ、って子もいれば、外国語に夢中になる子もいます

なにも、それら全てを身につけたスーパーキッズだけが、

この世の中を生き抜けるわけではありません

 

いよいよ四半世紀、(25年間)、わたしは、この仕事をしてきたことになります

これまでいろんな親子、子どもたちと出会って、別れてきました

大事なのは、「その先」だということも、たくさんの子どもたちの成長を見てきて知っています

 

四半世紀の最初の頃は、進学塾に勤め、その後補習塾のような個人塾を営んでいたので、

「苦手な部分を克服したい」「もっと成績を上げたい」

などという要望から入塾するケースが多かったです(当然ですよね)

だから、

逆に、「克服できない…」「成績が上がらない…」という事態になると、

「塾を変えようか…」という親子の結論に至ることも多かったように思います

当時、同業者仲間でその話になると、

「親御さんが一番わかっていない」と同じ結論に至りました

子どもはただ、親の言いなりで塾に入り、親の見ていない塾の授業中だけが息抜きの場となり、

集中しない、集中しているようにみせかけているだけのことがあります

口うるさく、先回りするタイプの親御さんの場合は、たいていそんなお子さんです

たとえば親子面談で、子どもに質問しているのに親御さんが先に話し出すような、そんな関係性です

つき合いが長くなり、子どもと話すと、親への不満や悩みがちょこちょこと出てきますが、

それらを率直に親御さんに伝えれば、生徒と自分との信頼関係が崩れます

だから、言えないままのことがほとんどです

子どもも、親には言えずにいます

「成績が上がらないのは塾が合っていないからだ!」と親に言われれば、従うのです

それで、あっさりと転塾していきます

「塾ジプシー」とその頃、そういう親子のことを呼んでいました

ダイエットと同じで、始めて数週間、長ければ数ヶ月たっても目立った効果は見られず、

ようやく生活習慣が変わって、いよいよ効果が…??という時にやめてしまうような、

そんな感想を持ちました

私たちは「はい、わかりました」と親子の背中を見送るしかありません

 

最近の親子の動向を見ても、周囲の情報に振りまわされて、

本来、親としてすべきこと、考えるべき事があるのに、それらがわからなくなってしまい、

どうしたらよいか…と塾に駆け込む例も多いようです

子どもにしたら、自分で努力して探して来た塾や勉強方法ではないので、

わけもわからないまま、親の言いなりになるしかありません

だって、親に胸を張って威張れるような成績をとっていないことが原因なのだろう、と

子どもはわかっているのですから

 

親に胸を張って威張れる成績って、そもそもなんでしょう

なんでそんなに成績にこだわるのでしょう

中学生になると、急に成績が数値化され、順位が出され、見せつけられます

200人いれば、1位と2位と…199位と200位がいるのが当たり前です

それを、学校は家庭に見せて、親の感想まで書かせます

全員が超優秀な学校であっても、200位がいるのです

順位をつけたいのなら、そういうことになります

 

巷にサービスが溢れているからといって、

自分ですべきことを放棄してよいわけではありません

お金を払ったから、って、責任が全て転嫁される分野ではありません

だって、家族のことなのですから

家庭を持った以上は何より優先して考えるべきです

高齢者福祉の話から、私はまた職業病で、つい子どもたちのことを考えてしまいました

 

だって、同じじゃないですか

同じよりもっと、単純でわかりやすいではないですか

 

子どもの教育は家庭の責任です

学校や、塾のせいではありません

 

じゃあ、私はなんのためにいるのか、

それは介護サービスの方々と同じです

 

プロとしての知識と経験を持ち、家庭ですべきことを、

親が実践できるように、

子ども自身が実践できるように、

寄り添い、サポートするだけです

 

両輪です

 

片方の車輪だけ動いても、違う方向に行ってしまいます

それぞれの車輪が別の方向に進もうとしても、やはりうまくは進みません

 

なかなか難しいとは思いますが、

もし塾を選ぶとしたら、そんな塾を見つけてください

 

自分ではできないから誰かに任せよう、なんて気持ちで、

塾を選ぼうとすると、まんまと術中にはまります

 

できないはずはありません

私たちがいくら頑張ったって、親御さんの代わりにはなれないのですから

でも、もし「手伝って!」と頼まれれば、たとえば私なら、

親御さんにはわからないこと、私にしかできないことで、

生徒たちの勉強の悩みを解決しようと努力と工夫することができます

 

親には親の、

私にはわたしの役割があります

 

そして、主人公は子どもたちです

同じ場所から、丁寧に見ていきましょう

何度も申し上げますが、小学生にとっても、中学生にとっても、

最も大事なのは「心」です

心豊かに育っていれば、何にも心配要りません

それは、学校のテストの点数や、順位表を見ていても、

わからないことですが

ぷろふぃーる
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